⑤ イギリス籍の方が亡くなった場合

 イギリス籍の方が亡くなられたときは、先ず、日本の通則法第36条により被相続人の本国法であるイギリスの国際私法を調査しなければなりません。イギリスの場合はイングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドと地方により法律を異にしている国になりますので、通則法第38条3項で、本国法が「地方により法律を異にする国の国籍を有する場合」に該当するいわゆる不統一国ですので、「その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。」と定めています。そこで、被相続人と最も密接な関係を持つ州の法律を本国法としますが、コモンローの国は一般的に「相続につき、動産については被相続人の死亡時の住所地の法律に従う。不動産については不動産所在地の法律に従う。」旨の規定をしています。
そこで、日本の通則法第41条は「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。」旨規定し、日本法は反致を認めております。よって日本に不動産を有して亡くなったイギリス国籍の被相続人の相続に関しては、日本の法律を適用することになります。先例でもイングランドの国際私法によれば不動産については不動産の所在地法が適用になり法例32条(現在通則法第41条)により日本の法律を適用することになります(昭和33、12、16民3発第933法務省民事第3課長心得回答)。


 また、イギリスにおいは、アメリカと同様に戸籍制度、住民登録制度はありませんので、相続を証する書面としては、通常、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書くらいです。相続人からこれらの書面を徴求しても被相続人のすべての相続人であることは確定いたしません。そこで、相続人全員において、この他に相続人は存在しない旨の公証人(Notary Public)の認証ある宣誓供述書を作成することにより、これをもって相続証明書にすることになります。住所証明書につき、英国籍を有する相続人が日本に居住しているときは外国人登録原票記載事項証明書が住所証明書となり、英国在住の場合は、居住している旨の公証人(Notary Public)の認証ある宣誓供述書をもって住所証明書とすることができます。また、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書についても日本在住であれば、英国籍の人は外国人登録をなし、かつ印鑑登録をしていれば当該市区町村で印鑑証明書を発行してもらうことができ、印鑑登録をしていなければ英国大使館領事部においてサイン証明書を発行してもらうことになります。更に、その者が英国在住であれば、当該遺産分割協議書へ直接、公証人(Notary Public)の面前で署名するか、又は、公証人(Notary Public)の認証あるサイン証明書を交付してもらい、当該遺産分割協議書に添付すればよいことになります。


 ところで、英国には公証人(Notary Public)は数少なく、多くは認証権限をもつソリシター(Solicitor)による認証を貰うのが手間をかけずによろしいかと思います。


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